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| 名前 |
桃源の種子 |
|---|---|
| ジャンル |
|
| 評価 |
3.0 |
| 住所 |
|
広場の一角に、銀色に輝く彫刻がぽつんと置かれている。題名は《桃源の種子》。ねじれた曲線と鋭い稜線が複雑に絡み合い、陽の光を受けるたびにその表情を変える。その姿は種子というより、命を包み育てる繭のようだ。繭は外から見れば、時を止めたように動かない。だが、その奥では確かに何かが育っている気配がある。「桃源」とは、中国・東晋の詩人、陶淵明が描いた理想郷に由来する言葉。けれど、この彫刻から感じられるのは、安らぎや調和という完成形ではない。殻の内にひそむ緊張感と、芽吹きを待つ希望、そしてわずかな不安が入り混じった、“生まれる前”の張り詰めた静けさだ。