昭和29年の秘境、癒しの水景。
釈泉寺円筒分水槽の特徴
釈泉寺円筒分水槽は昭和29年に完成した歴史的な施設です。
直径9.3mの分水槽から流れる水の様子は見応えがあります。
秘境のような立地で赤い橋を渡った先に癒しの景観があります。
水が濤濤と流れ出る様子は見応えあります。立山から流れ出る豊富な水量は水の豊かな富山ならではの風景です。全く観光化されておりませんので、駐車場、アクセス道路は未舗装のあぜ道のみです(軽トラ、ジムニーなどなら可)
分かりにくいところですが(秘境),そこがまた宜しい.ボーッと見ているだけで癒されます赤い橋を渡って右に200メートルほど歩きました。
| 名前 |
釈泉寺円筒分水槽 |
|---|---|
| ジャンル |
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| 電話番号 |
076-444-3456 |
| HP | |
| 評価 |
4.0 |
| 住所 |
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ストリートビューの情報は現状と異なる場合があります。
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釈泉寺円筒分水槽(農業用水利施設)は昭和29年完成、直径9.3mで左右に正確分水し水争いを収束させた構造物である。中新川郡上市町釈泉寺に所在する釈泉寺円筒分水槽(しゃくせんじえんとうぶんすいそう)は、戦後の農業用水不足を背景に築かれた代表的な近代水利施設である。昭和22〜23年に発生した大干ばつを契機に地域の農民が用水改良を求め、県営の上市川沿岸用水改良事業が昭和26年度に着工された。その一環として昭和29年(1954)に本分水槽が完成し、昭和34年(1959)に事業全体が終了した。設計は富山県の技師吉野彰、施工は地元の酒井建設とされる。本施設は鉄筋コンクリート造の円形槽で、中央に直径3.0mの導水筒を持ち、そこから噴き上がる水が直径9.3mの円筒槽にあふれ出す。水は外周を通って左右に振り分けられ、分水比は左岸51%、右岸49%と設定された。上部には直径10.5mの管理橋が設置され、構造点検に用いられている。水量が増減しても比率が変わらないよう工夫がなされ、流出口は中心線に対して対称に設けられている。この円筒分水槽により、それまで13系統に分かれて取水していた用水が統合され、左岸と右岸の幹線水路へ公平に分配される仕組みが確立した。左岸は丸山用水や湯神子用水など6系統に、右岸は広野用水や田島用水など5系統に配分され、合計542ヘクタールの水田を潤す。右岸幹線水路は川底下をおよそ100mの逆サイフォンで横断し、幹線水路の総延長は約7kmに及ぶ。これにより長年の水不足や争いは大幅に緩和され、農業の安定につながったと伝えられる。完成後も稼働を続け、2004〜2005年に環境整備、2012年に補修が行われたが、基本構造は当初のまま保たれている。平成17年には「とやまの名水」、平成21年には「とやまの近代歴史遺産百選」に選ばれ、令和4年(2022年)2月17日には国の登録有形文化財(建造物)となった。上市町で初の国登録文化財であり、地域の水利史を示す重要な構造物である。関連施設として、上流には釈泉寺頭首工があり、ここで取水された水が分水槽へ導かれる。さらに上流には昭和39年完成の上市川ダムと第一発電所が位置し、発電後の放流水が再び農業用水として利用されている。こうした施設群は、地域における水資源の効率的な利用を象徴している。釈泉寺円筒分水槽は、単なる農業施設にとどまらず、公平な水分配を実現した技術的解決策であり、地域社会の安定と発展に寄与した遺産である。その円形の構造から均等に流れ出す水は、かつての争いを克服した歴史を今に伝えている。