歴史を感じる兼六園の茶室。
夕顔亭の特徴
1774年に建てられた趣深い茶室が佇んでいる。
兼六園内に位置する歴史的な建物である。
250年の時を超えた風情が感じられる場所である。
寒すぎて休憩。抹茶セット。750円.前払い。おまんじゅうはもみじたき。
⭐️「兼六園」内に現存する最古の建物、1774年/安永3年の建造の約250年前の茶室とは、何気なく佇んでる風情が趣あり✨
外国人の観光客にも人気の夕顔亭。瓢池(ひさごいけ)の東岸にある茶亭。安永3年(1774)に建てられました。蓮池庭にあった四亭の一つで、当時のままの姿を今に伝えています。本席は小間ながら、本格的な茶の湯が催せるようになっています。また、その美しい名は、茶室内の壁にしつらえられた夕顔の透彫りから名付けられました。
1774年に11代藩主前田治脩が建てた茶室。現存する園内最古の建築物でもある。
夕顔亭。蓮池庭にあった四亭(夕顔亭・内橋亭・時雨亭・舟之御亭)のうちの一つ。安永3年(1774年)に建てられ、瓢池東岸にある。時雨亭・舟之御亭は2002年に再建された。
| 名前 |
夕顔亭 |
|---|---|
| ジャンル |
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| 電話番号 |
076-234-3800 |
| 営業時間 |
[水木金土日月火] 8:00~17:00 |
| HP | |
| 評価 |
4.6 |
| 住所 |
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夕顔亭(ゆうがおてい)は金沢・兼六園の奥にひっそりと佇む茶室だ。華やかな名前とは裏腹に、簡素で重厚な姿には、江戸時代の気品がそのまま宿っている。安永3年(1774年)、加賀藩の第11代藩主・前田治脩(はるなが)が造営したもので、いま兼六園に残る唯一の江戸時代の建物だという。もともとは「瀧見の御亭(たきみのおちん)」とか「中島の茶屋」と呼ばれ、夕顔亭という名前は明治以降の呼び名だそうだ。名前の由来は茶室内の袖壁に施された「夕顔」、つまり瓢箪(ひょうたん)の透かし彫りにある。この瓢箪の透かし彫りが夕暮れ時にやわらかな光を通す様は、優美そのもの。茶室の美学というのは、ただ茶を点てる場所というより、ささやかな意匠の中に宇宙を見る心を表すものだと実感する。夕顔亭は当初、瓢池(ひさごいけ)の中島に建てられていた。明治期に池の一部が埋め立てられ、いまは陸続きになったが、もともと池に浮かぶ島に佇んでいたというその姿を想像すると、趣深い。建築的には三畳台目の茶室に控えの間、水屋、給仕の間が続く数寄屋造りだ。屋根は宝形造(ほうぎょうづくり)の茅葺(かやぶき)で、ふたつの小さな屋根を互い違いに並べている。下座床(げざどこ)という、主客が対面して座る珍しい形式をとっており、燕庵(えんなん)という京都の名席に倣った設計らしいが、夕顔亭のほうがより開放的に造られている。躙口(にじりぐち)を設けず障子の貴人口(きにんぐち)にするなど、格式の高さとともに藩主らしいおおらかさも漂わせている。この茶室ができた背景には、1759年(宝暦9年)の金沢を焼き尽くした大火事の存在がある。火事で荒廃した庭園を蘇らせるために前田治脩が力を注ぎ、まず造ったのがこの夕顔亭だったそうだ。続いて内橋亭なども再建され、ようやく藩主らしい庭園が復活したという。当時は「兼六園」の名前もなく、単に「蓮池庭(れんちてい)」と呼ばれていたが、夕顔亭は庭園再興の象徴的存在だったことがわかる。また、夕顔亭の露地には面白い手水鉢(ちょうずばち)が置かれている。そのひとつは「竹根石手水鉢(ちくこんせきちょうずばち)」といい、なんと約1億3千万年前のヤシの木の化石でできているという。見た目は竹の根そのもので、浅野川上流の地層から採掘されたものらしい。自然が生んだ造形を手水鉢に見立てる発想は、いかにも藩主の遊び心だ。もうひとつの手水鉢は「白牙断琴手水鉢(はくがだんきんちょうずばち)」と呼ばれ、側面に中国の故事『伯牙絶琴』をモチーフにした浮彫りが施されている。これは名工・後藤程乗(ごとうほどのり)の作で、加賀藩5代藩主・前田綱紀(つなのり)の「金属以外にも彫れるか?」という問いかけに応じて、石で見事な作品をつくり上げた逸話がある。名工が殿様の挑発をさらりと越えてみせた、そんな逸話が加賀百万石の文化を感じさせる。江戸時代には夕顔亭以外にも「時雨亭(しぐれてい)」「舟之御亭(ふなのおちん)」「内橋亭(ないきょうてい)」という三つの茶亭が蓮池庭にあったそうだが、現存するのは夕顔亭のみ。ただ、2000年には時雨亭と舟之御亭が復元され、当時の庭園の姿をよりリアルに感じられるようになった。特に時雨亭では現在でも抹茶を楽しめるそうだ。夕顔亭と合わせて巡ると、殿様気分を味わえるだろう。金沢はかつて茶道が非常に盛んで、多くの茶室が街中に点在したというが、この夕顔亭はその中心にあった茶室と言えるだろう。近年、老朽化のため茅葺き屋根も全面葺き替えられ、より一層往時の姿がよみがえった。建物内部は普段非公開だが、特別公開の機会があればぜひ訪れたいものだ。透かし彫りからこぼれる光を眺めれば、そこに加賀藩主の愛した雅趣がきっと息づいているに違いない。夕顔亭は兼六園の中でも地味な存在に見えるが、その一つひとつの意匠には、まさに大名文化が凝縮されている。ゆっくりと目を凝らし、耳を澄ませば、藩主らが語らった江戸の声が聞こえてきそうな、静かながらも存在感あふれる茶室だ。