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名前 |
茶室鉄牛庵 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
4.0 |
日本の産業革命をエネルギーである石炭で支えた福岡県直方市に昭和前期に建てられた旧奥野医院の病院棟(洋館)、大正時代に建てられた旧奥野家住宅主屋(和館)などからなる国登録有形文化財です。平成四年(1992)、奥野医院は明治屋産業の創業者・故谷尾欽也の所有となり私立美術館として開館、その後、建物・コレクションすべてが直方市に寄付され現在は市立「直方谷尾美術館」として運営されている。その細長い敷地の東奥に、奥野医院時代に建てられた茶室「鉄牛庵・てつぎゅうあん」昭和十六年(1941)建築、がある。茶室は木造平屋建、瓦葺、建築面積42㎡。総じて数寄屋造りで内部天井は網代貼り、屋根は切妻で、東側が一段高く、続く西側は「むくり屋根」で一段低い。どちらの屋根も波型の軽量瓦を敷いた桟瓦葺(さんかわらぶき)。貴人口の上の庇は銅板葺き。主な外壁は荒壁土と仕上げ塗りの中間に用いる中塗土を仕上げ剤とする侘びた風情の中塗り仕上げ、一部 白漆喰仕上げとなっている。平面は東奥に小間・四畳半の茶室・その西に水屋、さらに西に屋内に設けた腰掛待合を直列させている。現在は美術館として待ち合いまで土足で歩けるが水屋に入る手前で靴を脱ぎ茶室へあがる。この待合は平成十年(1998)に増設された通路で新館とつながっている。茶室には躙口の他に貴人口も設けられ武家のお点前にも対応している。また待合の2つの窓は施主の茶の湯に関する深い造詣と、気取らない趣味の良さを感じさせる。これらの窓の外にも中庭があり、大きな山灯籠が見える。渡り廊下の窓には大正建築当時の「結霜ガラス」をはじめとする数種類の古い板ガラスがはめ込まれている。2022/08/10(令和四年八月十日)