医王山ふもとの神秘、ヒョットのお宮。
ヒョットのお宮の特徴
ヒョットのお宮は医王山のふもとに位置し、神秘的な雰囲気に包まれた場所です。
登山口の田島園地からわずか300mの距離でアクセスも良好です。
現地には解説の看板があり、地元の歴史や文化を学べるスポットです。
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登山口、田島(たのしま)園地より300mほどの距離です現地に解説の看板があり看板に向かって右側崖の斜面にあります。
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| 名前 |
ヒョットのお宮 |
|---|---|
| ジャンル |
|
| 評価 |
4.5 |
| 住所 |
|
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ヒョットのお宮は、医王山(いおうぜん)のふもと、金沢市田島町にひっそりと鎮座する神秘的なスポットだ。石川県立医王山自然公園内に位置し、地元では昔から崇められてきたユニークな巨岩である。実際のところ、この「お宮」には社殿も鳥居もなく、4メートルほどの円柱状の岩の上に直径約2メートルの球形の岩が絶妙なバランスで載っている。まるで巨大な人の頭を思わせるその独特の形から、地域では自然そのものを神聖視し「ヒョットのお宮」と呼んできたという。昔から、この岩を神様の御神体として畏敬してきたわけだが、名前の由来には諸説ある。ひとつは、人の顔(特にひょっとこ面)に似ていること、もうひとつは加賀の方言で「ひょっと(突然)」そこに現れた神秘的な岩を指している、というものだ。このお宮には不思議な言い伝えが残っている。昔、巨岩の境内にあった杉の木を切り倒した村人がいたが、神様の怒りを買ったのか、切ったその日のうちに村は大火事に襲われた。この火災は田島町の西側一帯を焼き尽くしたため、村人はこの出来事を「西焼け(にしやけ)」と呼び、今も伝え続けている。この伝承により、村人たちはヒョットのお宮を神聖な場所として敬い続け、岩やその周辺の木々を切ることを厳しく戒めてきた。そのため、現在でも周囲は鬱蒼とした自然が残り、まるで時間が止まったかのような神秘的な雰囲気を醸し出している。ヒョットのお宮が祀られている医王山自体も、加賀地方では古くから特別な山として知られている。719年、白山開山で名高い泰澄大師が開いたと伝わり、医王山の名は、元明天皇の病気を治したという薬草と祈祷に由来する。以来、山岳信仰や修験道が盛んになり、医王山一帯には数多くの寺院や修験道場が設けられ、霊山として栄えた。しかし、明治維新後の廃仏毀釈や修験道の禁止により多くの寺院は廃れ、医王山信仰は徐々に姿を消していった。ヒョットのお宮はそうした信仰の盛衰を静かに見守りながら、現在に至るまで素朴な自然崇拝の形で残ってきたと言えるだろう。また、ヒョットのお宮の周辺には医王山の信仰と深く関係する史跡や名所も数多く存在する。例えば、「白兀山(しらはげやま)」はかつて医王権現の奥宮があった重要な山であり、山頂からの眺望が素晴らしい。また、山腹の「大沼」は天然の池で、修験者が身を清める場所であったとも伝えられる神秘的なスポットだ。ヒョットのお宮とは距離的には離れているが、医王山という一つの霊山の信仰体系を構成する要素としてゆるやかに繋がっている。現在のヒョットのお宮は、文化財指定こそされていないが、石川県の自然公園として保護されている。特別な祭礼が行われることはないものの、地域住民にとっては今も身近な信仰の対象として大切にされている。地元の年配者には、昔この岩に手を合わせに行った記憶を語る人も多い。派手な観光地化はされていないが、静かな信仰の場として訪れる人に神秘的な感覚を与えている。訪れる際には、崖上の細い道を進むことになるので、足元には注意が必要だが、その神秘的な佇まいはぜひ実際に見て感じてほしい。医王山全体が地域の自然遺産であることは言うまでもなく、その中でヒョットのお宮は、まさに「自然が生んだ不思議な神様」として、今なお訪れる人を静かに迎えているのである。