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林黒古墳群(はやしくろこふんぐん)は、高山市国府町の西門前地区に広がる、飛騨地域の古墳時代を感じさせてくれる史跡だ。飛騨地方には意外に多くの古墳が点在しているけれど、この林黒古墳群はまだあまり有名じゃない。でもだからこそ、古代の雰囲気がそのまま残されているような素朴な魅力がある。具体的に何基の古墳が存在するかはまだ詳しく報告されていないけど、近くには飛騨地方でも特に大きい「こう峠口古墳(こうとうげぐちこふん)」をはじめ、個性豊かな古墳が点在していて、その一部を成していると思われる。おそらく林黒古墳群にも、小規模な円墳や方墳がいくつか並んでいたのだろう。現時点では詳しい発掘報告や出土品の情報は少ないけれど、飛騨地方の他の古墳の事例を考えると、横穴式石室が一般的に造られ、須恵器や土師器などの日用品のほか、鉄製品や埴輪などが副葬されていたことが想像できる。こう峠口古墳には石棺まで残っているらしく、林黒古墳群もまた似たような構造だった可能性があるかもしれない。それにしても、こんな山深い飛騨地域に、古墳時代のヤマト政権の影響がしっかりと及んでいたのは少し驚きだ。冬頭町の冬頭王塚古墳などからはヤマト政権とのつながりを示す鉄剣も出土しているし、この林黒古墳群の被葬者もまた、当時の飛騨地域を支配した豪族や有力な一族だったことは間違いないだろう。また、この地域には伝説や民話が多くて面白い。林黒古墳群の周辺でも、両面宿儺(りょうめんすくな)の伝説や、将軍坂上田村麻呂が鬼を追ったという話が伝わっている。歴史的な事実とはまた別に、こうした昔話も古墳巡りのアクセントになって楽しい。まだ文化財としての指定はされていないけれど、今後さらに調査が進めば、飛騨の歴史を語る上で欠かせない古墳群になるかもしれない。素朴だけれども、古代のロマンが眠る林黒古墳群は、飛騨を旅するならふらっと立ち寄って、ぜひ古代に思いを馳せてみてほしい場所だと思う。