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名前 |
弁慶産屋の楠跡 |
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ジャンル |
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住所 |
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HP | |
評価 |
3.3 |
三重県紀宝町鮒田の静かな住宅街の一角に、ひっそりと佇む「弁慶産屋の楠跡(べんけいうぶやのくすのきあと)」。ここは、源義経の忠臣として知られる弁慶が生まれたと伝えられる伝説の地です。大楠が立っていたこの場所には、かつて弁慶の母が出産したとされる屋敷があったとされ、その伝承を記す石碑が今も大切に残されています。伝説によれば、弁慶の父は熊野三山の高僧である「熊野別当」。都の貴族の姫を連れ帰り、この地で暮らしていました。やがて姫は懐妊しますが、その子は18か月もの長い間胎内に留まり、なんと髪も歯も生えた異形の姿で生まれたといいます。あまりの異様さに、父はこの子を「鬼の子」と恐れ、命を奪おうとします。母の妹、つまり子の叔母にあたる女性がその子を連れて都に逃れ、密かに育てたとされます。この子こそ、後に「鬼若(おにわか)」と呼ばれ、成長して弁慶と名乗り、義経に仕えることになるのです。「産屋の楠」と呼ばれた大楠は、出産の屋敷の庭に根を下ろしていたとされ、長くこの地に立っていました。現在はその楠こそ失われたものの、地元の人々の手で石碑が建立され、今もその伝説を静かに語り継いでいます。観光で訪れる際は、道沿いの小さな案内板を目印にしてください。庭のような敷地に設けられた石碑は、春には花々に囲まれ、地域の人々によって丁寧に整備されています。熊野古道や新宮の神社仏閣を巡る旅の途中に、弁慶の原点に触れてみるのも一興です。この地には、誇り高き「弁慶の里」としての風土が息づいています。紀宝町を訪れた際は、伝説の地に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。